リーダーとして、目標設定は非常に大切な仕事だ。
なぜなら、人が行動するのは目標を達成しようとするからで、目標が適切でなければ、行動が的を得たものにならない。
この目標には、「会社の目標」と「社員の目標」の2つがある。
会社の目標とは、たとえば製造業ならば、良い製品を適正価格でタイムリーに顧客に提供し、その結果として「利益」を得ることだ。
そして、そのために会社を構成する「部門目標」がある。
たとえば、営業部門であれば、利益の上がる売上目標、また、品質管理部門であれは、お客様のクレーム減少や社内の不良損失の低減などだ。
一方、社員の目標とは、仕事を通じて「よい評価をしてもらう」「給料を高める」「自分の能力を向上させる」「魅力あるポストにつく」などだ。
ここで大切なことは、この会社と社員の2つの目標に整合性がとれ、そして、方向が一致していることだ。
リーダーやメンバーは会社の一員だから、会社の目標が達成されることが、社員としての個人の目標も達成されることになるが、それがなかなか関連付けられて理解されていないことが多い。
つまり、会社の目標と社員の目標との乖離現象で、その結果「会社の仕事は十分にやっています。これ以上はする必要がありません」というような声も聞かれるわけだ。
まさか自分個人の目標で、上限を設定する人はいないと思う。
このことは頭ではわかっていても、具体的な行動には結びついていない。
そして、この傾向は、大企業の社員になるほどはっきりとします。
なぜ、そういうことになるのか。
それは、会社の目標と社員の目標は異なるものであること、すなわち会社の目標達成の後に、社員の目標達成があるということが理解されていないからだ。
また、社員それぞれの行った仕事が会社の目標にどれほど貢献し、その貢献度を社員の評価にどのように反映させるのか、そして結果的に社員の目標がどれほど達成できるのか、といった関連が不明確だからだ。
簡単に言えば、一生懸命に仕事をして会社が利益をあげたら、自分の給料はどれだけあがるのかがはっきりとはしていない。
その大きな理由は、一般社員の評価はリーダーが行い、そのリーダーの評価はそのリーダーのリーダーが行う、…というようなプロセスで評価が行われるが、それぞれの評価に、人間的な感情の「好き嫌い」「性格が合う合わない」「指示に従う従わない」などの要素が、大きく入ってきてしまうからだ。
だから、人間的な感情で評価できないようにするために、仕事の成果を数字で評価する仕組みをつくることが必要だ。
ところで、夢中にさせる目標(会社目標+社員目標)の設定では、目標の大きさをいくらにするかが大切だ。
一般的に、目標が小さすぎると、あまり夢中にはなれない。
目標が小さすぎると、簡単に達成できると思って力が入らず、また達成したときの魅力が少ないために力を出さないからだ。
しかし、あまり大きすぎてもダメで、どうせそんな目標の達成はできないと、はじめから諦めてしまうからだ。
その中間、どちらかといえば、やや大きいくらいの目標が適正と考えている。
また、目標が全社員に共有化されていることも大切だ。
ある人はそれを目標にし、ある人は別なものを目標にする、これでは目標達成に対する意欲が激減する。
そして、ベクトルの合った行動にはならない。
そうではなくて、目標が共有化されていると「あの人も同じ目標に向かって頑張っている。別の人も同じ目標に向かって頑張っている。だから私も頑張ろう」というように、全社員が夢中になってくる。
メンバーを統率していくリーダーとしては、夢中にさせる目標設定は非常に大切なことだ。