今までに多くの社長の方々を見てきたが、「魅力的だなあ」とか「この人の会社で働きたい」と感じる社長の会社は活気がある。
魅力的というのは抽象的だが、たとえば「男性的である」「女性的である」「強さを持っている」「情熱的である」「信念を持っている」「豪快である」「たよりがいがある」「大きな夢を感じる」 …など、多くの表現ができる。
もちろん、これらすべての表現に値するような人はいないが、このような表現をひとつでも強く感じられる人は魅力的に違いない。
この魅力的であるということが、優秀なリーダーの十分条件だ。
なぜなら、リーダーとして部下に目標を与えたり指示をする場合に、その内容が正しいかどうか、また、理屈に合っているかどうかよりも、リーダ―の人間的魅力の大きさによって部下の行動の強さが変わるからだ。
これは問題なことかもしれませんが、多少間違ったことであっても、大きな魅力のある人の指示には積極的に従うものだ。
そして、経営的な判断の領域では、だれもが正しいと考える判断はできないから、人を引き付ける魅力がなければ、どんなに自分としては正しいと思うことを話したとしても、聞き入れてもらえない。
また、たとえ聞き入れられたとしても、大きな行動力を発揮させるインパクトを与えるまでには至らない。
だから、正しいと思われる指示が、よい結果を生むとは限らないのだ。
人と人のかかわりで仕事が進む職場の中では、このような人間的な魅力の有無によって、その人の与える影響力の大きさは変わる。
この魅力だが、意識的に人を惹きつけようとしても、ここでいう魅力はつかないかもしれない。
また、人に好かれようというような考え方から出てくるものでもない。
魅力というのは、その人の「考え方」や「価値観」が言動を通してにじみ出る、本質的なものと思っている。
だから、「人」や「人生」や「経営」について、自分の考え方や価値観を深め、それに基づいて話したり、行動する時に少しずつ身につけていくことが必要だ。
反対に、魅力がないとはどういうことか。
それは、リーダーがいてもその場の雰囲気が変わらない、またいるかいないかわからない、つまり、存在感がないことだと思う。
過去の高度成長時代や平穏な時代には、存在感がないこと(平凡であること)はリーダーの条件であったかもしれないが、今日のような経済の激動期においては、強烈な魅力を持っていることが必要だ。