目標に向かって毎日小さな努力を続けていると、日々の少しずつの成長が積み重なって、何年かするとそこそこのレベルに達しているものだ。
しかし、その日々の少しずつの成長は、最初は感じられるが、しばらくすると徐々に感じられなくなっていく。
もちろん、成長はしているが、その少しずつの変化に対してマンネリになってしまい、変化が感じられなくなるのだ。
「少しずつ成長しているなら、それで良いではないか」という考え方もあるが、成長を感じることが出来ないため、無意識のうちに面白みや新鮮味がなくなり、必要な日々の努力を怠ることになりやすい。
だから、新鮮味を持っていた当初のときの方が、成長速度は速い。
たとえば、会社に入りたてのサラリーマン、つまり新入社員には、仕事についての知識はほとんどなく、すべてが初めてのことだ。
だから、自分の行動に対して自信が持てないため物事に対して慎重になり、人の意見をよく聞いたり、また本を読んで勉強して、急速に成長していく。
しかし、3年もすると、社会や会社がなんだかわかったような気になって、それまでのような、人に質問したり本を読んだりすることをやめてしまう。
これをマンネリと言うが、この時点で成長の速度は大きくダウンする。
物事に対して少し知りはじめたときから本当の成長が始まるが、残念ながら、少し知り始めた時点で人は努力をするのをやめがちだ。
だから、「初心忘るべからず」ということわざがある。
「はじめて物事に取り組み始めたときの不完全さや未熟さ、そして取り組むときの新鮮な気持ちなどを思い起こすことは、中だるみのマンネリの状態から抜け出して、成長に加速度をつけていく」と言っている。
だから、物事をはじめるに当たっては、当初の間、日記をつけることだと思う。
私は経営コンサルタントになってからの3年間は、ほとんど毎日日記をつけた。
そのとき日記を書き始めたのは、コンサルタントとしての「初心」をノートに書いて残しておこうと思ったわけではない。
はじめて経営コンサルタントとして仕事をしたことが非常に新鮮であったこと、また自分の気持ちを整理したり、これから何を勉強しなければならないかを考えるために日記を書き始めた。
このノートは合計3冊になるが、コンサルタントをリタイアするまでは毎年正月に読み返して、その当時の新鮮な気持ちを自分の心に蘇えらせるようにしていた。
3時間ぐらいかけて、そのときの気持ちをしっかりと思い出しながら読むが、何度読んでも非常に参考になった。
そのときに考えていた経営コンサルタントの仕事や、最初の頃はこんなことを考えていたのか、またこんなことで悩んでいたのか、そして必死に仕事に取り組んでいたのだということが思い出された。
そうすると、「これからもさらにレベルアップを目指して、新たなことに挑戦していく必要がある」と自分で決心することが出来、自分で作った自分のためのテキストで大きな財産だった。
いろいろな物事にチャレンジしているときに、ときどき初心に戻ることは非常に大切なことだ。
勉強でもスポーツでも趣味でも、何でも始めたときは初心者だ。
この初心者のときにその初心を日記に書くことは、それをときどき読み返すことによって初心を思い起こし、そのときの新鮮な感覚を蘇えさせ、日々のマンネリから脱却し、成長を持続することが出来る。
さらに、毎日の仕事の中に喜びを感じ、精神的な満足感を得ることが出来て、人生の楽しみが倍増することになる。